ガイドブック 星空博物館 (第3章 太陽系の星たち)

火星接近とその見え方 2

平成15年3月発行


それぞれ起動上の位置によって接近時の状況が異なる。
火星はなぜ赤い?
 さそり座の1等星アンタレスは火星の敵という意味を持ち、火星のライバルですが、アンタレスは
赤色超巨星です。火星はちっぽけな惑星です。大接近時には−3等と、アンタレスを圧倒してしま
う明るさですが、火星は太陽の光を反射して光っています。なぜそんなに赤く見えるのでしょうか。
それは火星を覆う酸化鉄を含むちりに原因があります。要するに火星の赤は赤さび色なのです。

 火星は2年2ヶ月に一度地球に接近します。火星が地球に近づいてくる、という印象になりますが、むしろ、地球が火星に近づくと言ったほうが適当です。地球と火星の軌道を見ると、地球は内側の軌道を秒速30kmで動いています。一方火星は外側を秒速24kmで動いています。インコースの地球のほうが足が速いのですから、火星を追い抜くことになります。そして、追い越す瞬間が火星と地球の距離がもっとも近づくことになります。ただし、火星をどこで追い越すかによって、その接近距離が変わるのです。

 地球は太陽の周りをほぼ円軌道でまわりますが、火星は太陽の周りをややだ円軌道でまわります。火星が太陽から遠い位置(遠日点)で地球と接近すると、その距離は約1億km、一方、太陽に近い位置(近日点)で接近すると、その距離は約5600万kmと、4400万kmも近くなります。近日点近くで接近する時が大接近、反対を小接近と呼ぶのです。その差は、大接近時と小接近時で火星の視直径が約1.7倍違って見えることになります。
ただ、大接近の時はいつも決まって火星の季節が秋(南半球では夏)、小接近の時は決まって火星の季節が 春(南半球では冬)となり、また、火星の地軸の傾きから大接近の時は南半球が、小接近の時は北半球が主に見えることになります。