ガイドブック 星空博物館 (第3章 太陽系の星たち)

明けの明星・宵の明星

平成15年3月発行

 金星は地球に近くまた表面の反射率も高い星なので、星の中でも最も明るい光輝を放ち、美の女神ビーナスの名で呼ばれます。「明けの明星」「よいの明星」というのは、ともに金星をさします。金星・水星は地球より内側の軌道を回る惑星なので、太陽の正反対に当たる、真夜中の空には現れません。明け方太陽に先がけて東の空に昇るか、あるいは日没後西の空に残って輝きます。
 金星が地球から見て太陽の西側にある時は、太陽より先行するので明けの明星となり、太陽の東にある時は、太陽より遅れるので、よいの明星になるのです。
 金星と地球の会合周期は584日ですが、その5倍は地球の公転周期(約365.25日)のほぼ8倍にあたります。そこで金星の地球上での見え方は、8年ごとにほとんど同じ状況が再現されることになります。そして、その8年の間に、明けの明星と宵の明星はそれぞれ5度づつ見られます。それぞれの軌跡はまたその8年後にわずかのずれでくり返されることになります。下の図は、それぞれ日の出30分前と日没30分後の位置を示しています。ほぼ同じ位置になる8年後を凡例中の(□)内に記しておきました。その8年後も大きな差違はありませんが、動きの大きな時期(宵の明星の期間の終わりと、明けの明星のはじめころ)には、ずれが目立ってくるでしょう。

金星の動き
背景の空の線は10°おき : 右の図はこれから見られる明けの明星 左の図はこれから見られる宵の明星(数字は年/月、丸は月初の位置)