ガイドブック 星空博物館 (第3章 太陽系の星たち)

土星とそのリング

平成15年3月発行

 土星は目でよく見える最も遠い惑星です。そのまわりにリングを持つことで有名です。肉眼で見た感じは、少しくすんだようなやや黄色みがかった色合いをしています。見かけの明るさはリングの傾き加減によってかなり異なり、リングが開いているときは−0.5等くらいまで明るくなりますが、リングが見えにくい時は1等星くらいになってしまいます。
 土星本体の内部は、木星の内部構造と良く似ていて、水素とヘリウムで出来た惑星です。直径は約12万km、地球の直径の9倍ほどで、木星に次ぐ大きさです。赤道付近での自転周期は、約10時間14分と、自転速度が速いので、赤道部分が遠心力でふくらんでいます。平均密度は0.68g/cm3で、水より軽く、土星を水に浮かべたら沈まずに浮いてしまうことになります。
 土星本体の表面は、木星同様の赤道に平行な淡い縞模様が見られますが、木星と比べると変化が乏しく、その構造もあまりはっきり見ることは出来ません。木星の大赤斑に相当するような大きな渦のような構造も、大白斑として観測されていますが大赤斑のように数百年も長続きすることはありません。1991年に、ハッブル宇宙望遠鏡が土星に大きな白い斑点もよう(大白斑)を発見しました。大白斑はその後だんだんひろがり、数週間ではっきりとは確認出来なくなりました。その後1994年にも白斑が見られ、土星の大気の運動も活発であることがわかりました。

土星(2002年11月19日)

ハッブル宇宙望遠鏡が写した(1994年)土星