ガイドブック 星空博物館 (第3章 太陽系の星たち)

金星・地球・火星

平成15年3月発行

 この三つの惑星は似たところ、異なるところが興味深く、よく比較されます。
金星は地球よりその直径は95%、質量は80%ほどと、ほんの少し小さいだけです。しかし、表面の大気圧は90気圧(地球の海面下1000mの圧力に相当)、大気の組成は、ほとんどが二酸化炭素のうえ、硫酸でできた雲の層が表面をおおいつくして、金星の地面を見ることができないのです。そのうえ、温室効果によって地表の気温はおよそ470度にもなっているのです。
 わたしたちは望遠鏡で、真っ白く輝く、雲におおわれた金星しか見ることができません。探査機によるレーダー画像から、その表面は地球と同じく、いん石衝突によるクレーターがほとんどなく、表面が比較的若いことを示しています。
火星は地球に比べ直径は半分強という小さな惑星ですが、探査機の観測から表面は変化に富んでいることがわかってきました。月のようにクレーターがたくさん見られるところ、火山地形や溶岩が流れた地形が見られるところ、川のながれたような跡や大規模な洪水のあとと思われる地形が見られるところ、大きな湖や海岸のような地形が見られるところがあるのです。今は大気も地球の200分の1程度と大変薄く、気温も−120度から0度と変化が激しいのですが、過去にもっと温暖な時期があって、海や水が流れる環境があったかもしれない、という希望を抱かせてくれます。
 衛星の有無も金星にはなく、地球が一つ、火星が二つあるものの、月は火星のフォボス、ダイモスに比べとても大きな衛星で、むしろ地球と月は双子の惑星と見られるほどです。

金星・地球・火星の比較

金星の展開画像(NASA/JPL)

地球の展開画像(NASA/JPL)

火星の展開画像(NASA/JPL)