ガイドブック 星空博物館 (第1章 観察の前に)

星の動きと地球の動き

平成15年3月発行


オリオン座

 オリオンと毒さそりの話

 オリオン座とさそり座という星座はご存知でしょうか?
 オリオンは、ギリシャ神話に登場する狩人です。たくましい大男の上、たぐいのない美男でしたが、猟の最中に、この世の獣をすべて射止めてみせると大言したことに大地の神が怒り、小さな毒さそりを放ってこの巨人を暗殺してしまいました。オリオン座は小さなさそりに殺されたことでいまだに大言を恥じ、さそり座を避けているというお話があります。オリオン座は冬の星座、さそり座は夏を代表する星座です。さそり座が東から昇ろうとすると、ほんとうにオリオン座はこそこそと西の地平線にかくれてしまいます。
 もちろんこの神話は、人の想像力が生んだもので、実際に星が恥じたり恐れたりするものではありません。では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

星の動きをたしかめよう

 地球は回り、星は動く

 空に輝く星たちは、はるか彼方にあるため、その動きはほとんどわかりません。まったく動かない、と言ってもよいくらいです。しかし、星空を眺めていると、1時間もすれば星の位置が変わっていることに気づきます。これは、星の方ではなく、私たちの立つ大地の方が向きを変え、動いてしまっているのです。
 この動きは、北極と南極を結ぶ直線を軸にした、コマのような回転(地球儀の回転)で、「自転」と呼んでいます。自転は1日に1回転です。頭上に輝く星は、半日たつと地面の下、足の方向に行ってしまうのです。
 オリオン座とさそり座は、地球をはさんでそれぞれはるか反対方向にある星たちです。私たちが、西を向けば東は見えず、東を向けば西が見えないように、地球の反対方向にあるこの両星座は、交互に昇ったり沈んだりするのです。

さそり座

天球の動き