金星(雲を見ている)NASA/JPL 明星、という名の通り、星の中で最も明るく、最大で−4.7等という明るさで輝いて見えます。地上に明かりがともり、夜空の星々がかき消される現代の都市の空でもはっきりと見ることができます。 金星はなぜそんなに明るいのでしょう。もちろん地球との距離も惑星の中で一番近づくのですが、それ以上に、太陽に近く、金星表面の反射率が0.78と高いのです。太陽系の中の天体は全てみな太陽の光を受けて輝きます。光を反射する率は表面の物質によって決まってきます。金星の反射率が高いのは全面分厚い雲に覆われていて、雲が光を反射しているからです。他の惑星でも雲に覆われた木星型の惑星は高い反射率を持っています。 金星は地球のような地面を持ちますが、望遠鏡で見ると、淡い雲の流れるすじがわかる程度で厚い雲に遮られてしまい、地表はまったく見ることができませんでした。 金星の探査結果 1960年以後、ソビエトやアメリカの探査機が徐々にそのベールを剥がし始めました。ソビエトのベネラ探査機は金星に降りてゆき、大気の組成などを詳しく調べました。それによると、金星表面の温度は420〜485℃もあり、気圧は90気圧(地球の海面下900mに相当)という焦熱地獄のような世界でした。大気の組成は、96.5%の二酸化炭素と3.5%の窒素で、雲の主成分は硫酸というこれまた地球とは似ても似つかぬ世界なのです。 金星は公転と逆方向にゆっくりと自転をしており,自転周期は約243日,公転周期は約225日なので,金星の一昼夜は約117日に相当します。 その後、1990年以後のアメリカのマゼラン探査機によるレーダー探査で金星表面の地形が明らかにされてきました。マゼランの画像データから、金星表面が溶岩流によっておおわれていることが分かりました。金星の表面の大部分は、凹凸の少ない、高度差3km以内というゆるやかな起伏の平原でできています。その中に二つの大きな台地があります。北半球にあるイシュタール大陸(オーストラリアほどの大きさ)と、赤道下にあるアフロディーテ大陸(南アメリカ大陸ほどの大きさ)です。イシュタール大陸の内側は、最高峰のマクスウェル山を含む金星で最も高い山々に囲まれた、 ラクシュミ・プラヌムという高い台地で構成されています。 金星には小さなクレーターがありません。これは金星の濃い大気のせいで、地表に達するまでに燃え尽きてしまうのでしょう。また、金星のクレーターは房のように見えるのですがこれは地表に達するような大きな隕石は、大気中で爆発していちどにたくさんのクレーターを生成することを示しています。 |
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イシュタール大陸 NASA/JPL |
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