ガイドブック 星空博物館 (第2章 太陽と月の現象)

地球の影による惑星食はあるか

平成15年3月発行

 月食は月が地球の影に入り、光を失う現象です。この影は、地球の背後にずっと伸びているはずですから、そこを火星など外惑星が通過したら、月食のような「食」になるのでしょうか?
 日食のページの図を見ると、月が作る影は、月から離れるほど「本影」と呼ぶ影の濃い部分(皆既日食になる範囲)はせばまり、「半影」という(部分月食となる)薄い部分が広くなります。つまり、遠方では影がぼやけていることになります。皆既月食は地球の本影に月がすっぽり入る場合ですが、地球の本影は火星まで離れるとすでになくなってしまいます。そこで影に入るという意味での「皆既火星食」という現象は起きません。
 ただ「半影」は理論上存在するはずです。しかしこれも、火星面上で地球が起こす部分日食(金環?食)は、地球があまりにも小さく(視直径でせいぜい40"程度−太陽の1/30)、「食」と言うよりは「地球の太陽面経過」という程度の現象で、火星にとどく光を大きく減少させるほどではありません。さらに遠方の木星などではなおさらで、このような現象は、見た目にはほとんどわからないものとなるでしょう。

地球による日食(想像図)
月食の時、月面では日食がおきているはずです