ガイドブック 星空博物館 (第2章 太陽と月の現象)

お月見の月

平成15年3月発行


十五夜の月。このときは満月の前夜でした

 むかしから「十五夜」「中秋の名月」などと言って、旧暦の8月15日の晩にススキやお団子などを供え、お月見をする習慣があります。
 明治5年以前に使われていたむかしの暦は、月の満ち欠けにもとづいて1ヶ月を決めるしくみだったので、毎年同じ日には、ほぼ同じ形の月が眺められました。現在の暦は太陽の運行(というより地球の公転)に合わせたものなので、お月見の日付は毎年異なります。よく、旧暦というのは現行暦より一ヶ月遅れとお考えの方がいらっしゃいますが、これは誤解です。月の朔望(満ち欠け)12回を1年とすると、太陽年との差が11日ほど生じ、これが毎年蓄積する上、旧暦では閏月の挿入という複雑な補正をするので、新旧暦の差は一定しません。単純に一ヶ月ずらすというのは、改暦に際し年中行事の日程を毎年そろえるための方便だったのでしょう。しかしお月見ばかりは月のない晩にするわけにも行かず、今も旧暦に従って行なっているわけです。

十五夜のお供え(平塚市内)

 中秋の名月がいつになるかは、秋分の日をめやすに、だいたい知ることができます。旧暦では、新月から次の新月までを1ヶ月としていました。そして、秋分の日を含む月を8月とするようにしていました(この点で旧暦も太陽暦の要素を持っていたわけです)。そこで、8月15日というのは、秋分の日の直前の新月の日を1日として、15日め(14日後)にあたることになるのです。
 たとえば、2010年の場合、秋分を9月23日とすると、直前の新月というのは9月8日で、これが旧8月1日になるわけです。この年の十五夜は、新暦の9月22日の晩という計算になります。

2020年までの十五夜と直前の新月