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南極でいん石が見つかるわけ

火星大接近 2003 (解説 新しい火星像)

南極でいん石が見つかるわけ

平成15年秋季特別展図録 平成15年10月発行

 近年、南極でたくさんのいん石が発見されています。雪と氷に覆われた南極ですが、なぜ南極でいん石が見つかるのでしょう。南極大陸ならどこでも隕石が発見できるわけではありません。これまでにたくさん隕石が発見されているのは、「やまと山脈」付近と、アメリカ、マクマード基地の北2 3 0キロメートルにある「アランヒルズ」付近の2個所の裸氷の上だけです。
 長期間にわたって落下したたくさんの隕石に特別の集積メカニズムが働いて、これらの地域に集中したと考えられています。
 日本の南極観測隊が最初に9個の隕石を発見したのは1 9 6 9年1 2月2 1日で、第1 0次観測隊が「やまと山脈」南部の氷床を調査中の偶然のことでした。この発見は初めはあまり注目されませんでしたが、1 9 7 3年に第1 4次観測隊が1 2個を発見、1 9 7 4年には9キロメートル四方を組織的に探査して1 6 8個もの隕石を発見し、その重要性が認識されるようになりました。それ以後も探査が続けられ、1 9 7 6年から3年間は日米共同の南極隕石探査採集計画が実施されるなど、1 9 8 7年までに実に9 0 0 0個近くの隕石が採集されました。その結果、現在の日本は、世界で最多の隕石保有国になっています。これまでに南極以外で発見された隕石が全世界で2 5 0 0個程度であることを考えると、南極地域でいかに集中的に隕石が発見されているかがわかります。

南極いん石の集積メカニズム



南極で見つかった火星いん石 (ナクライト 国立極地研究所)
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