火星に関する知識は、1960年以後打ち上げられた火星探査機によって飛躍的に増大しました。どんな巨大な望遠鏡でも、地球の大気を通すため、川底の石のようにゆらぎ、火星表面はボンヤリとした模様しか見えません。また、地球に近づく時期が限られている上、火星では、表面を照らす太陽が常に高く、ちょうど満月の月の模様を見るのと同じ状態になるため、火星の地形を観測する、というよりも、火星表面の濃淡模様を見ることしかできないのです。もっとくわしく、という希望は地球にいる限り望めない夢でした。
1965年、火星探査機マリナー4号が火星に近づき、初めて火星表面の近接写真を撮影し地球に送信してきました。撮影範囲は全表面のわずか1%ほどでしたが、そこにはそれまで長いこと議論されてきた「運河」ではなく、月の表面に見られるクレーターが写っていました。火星は月よりも地球に近い惑星、と考られえていましたから、運河を信ずる人たちばかりか、火星の研究を進めてきた科学者たちもショックを受けたのでした。 その後、マリナー6・7号がより広く詳しい火星表面の写真を撮り、火山や谷などの地形がわかるにつれ、やはり火星は月よりも地球に近い惑星であることが理解されるようになりました。 旧ソ連も火星観測を熱心に行い、アメリカよりも多くの探査機を送り込もうとしましたが、なぜかトラブルが多く、大きな成果をあげられないまま今にいたっています。 | |
マリナー4号(アメリカ) | |
ゾンド3号(ソ連) | |
マリナー4号が撮影した火星表面 | |
マリナー6・7号 | |
成功又は火星に到達した探査機 |