火星大接近 2003 (火星大接近)

6万年ぶりの大接近!!

平成15年秋季特別展図録 平成15年10月発行

 2003年の接近は6万年ぶりに起きた稀に見る大接近として話題になりました。
 火星は2年2ヶ月に一度地球に接近します。
 火星が地球に近づいてくる、という印象になりますが、むしろ、地球が火星に近づくと言ったほうが適当です。地球と火星の軌道を見ると、地球は内側の軌道を秒速3 0 k mで動いています。一方火星は外側を秒速24Kmで動いています。インコースの地球のほうが足が速いのですから、火星を追い抜くことになります。そして、追い越す瞬間が火星と地球の距離がもっとも近づくことになります。ただし、火星をどこで追い越すかによって、その接近距離が変わるのです。
 地球は太陽の周りをほぼ円軌道でまわりますが、火星は太陽の周りをやや楕円軌道でまわります。火星が太陽から遠い位置(遠日点)で地球と接近すると、その距離は約1億k m、一方、太陽に近い位置(近日点)で接近すると、その距離は約5600万Kmと、4400万Kmも近くなります。近日点近くで接近する時が大接近、反対を小接近と呼ぶのです。その差は、大接近時と小接近時で火星の視直径が約1.7倍違って見えることになります。
 大接近は1 5年から1 7年に1度の現象ですが、2003年の大接近は火星の近日点に極めて近い軌道上で最接近となったこと、太陽系の惑星同士の引力の作用によって惑星軌道が微妙に変動していること、などが重なり、6万年という数字が出てきました。

 大接近の時はいつも決まって火星の季節が秋(南半球では夏)、小接近の時は決まって火星の季節が 春(南半球では冬)となり、また、火星の地軸の傾きから大接近は南半球が、小接近は北半球が主に見えることになります。

火星と地球の軌道

火星の星座の中での動き 2003年1月〜12月
ステラナビゲーター6で作図

1992年12月の接近時の火星
北半球が見え大きな北極冠が見えている。

1988年9月の大接近時の火星
南半球が主に見え、白い南極冠が小さく見えている。