特別展・企画展 案内
平成24年度 春期特別展
2013年3月16日(土)~5月6日(月)
 夜空を流れる天の川。七夕伝説の舞台でもあり、古代から多くの文明が天に横たう川や道になぞらえてきました。その正体は星々の大集団である銀河。渦巻く天の川銀河をその中から見た姿が天の川だったのです。太陽は、1000億とも2000億とも言われる天の川銀河を構成する星の一つに過ぎません。しかも、天の川銀河の中心ではなくはずれに位置していることが、天文学の研究の進歩によって明らかになってきました。
 私たちは天の川銀河の中に暮らしています。ということは、天の川銀河を外側から眺めることはできません。それでも人類は、様々な観測を行い、物理法則を駆使して、決して全体を見渡すことができない天の川銀河の構造を明らかにしてきました。イタリアの天文学者ガリレオによって、天の川が星々の大集団であるということが初めて観察から明らかになって約400年。人類は天の川銀河の正確な姿を描くことができるようになってきました。
 本特別展では、まず最新の観測で明らかになってきた天の川銀河を俯瞰します。様々な観測データから、どのように天の川の姿が描き出されてきたのか、3垓(がい)分の1=300,000,000,000,000,000,000分の1の模型で紹介します。また、地上から見た天の川の姿を高精細写真で展示、天の川にどのような天体があるのかとあわせて紹介します。

 展示構成
平塚から銀河へ 博物館から天の川銀河へ、その広がりの違いを10倍ずつスケールアップしながら見ていきましょう。
スタート 地球
スタート(10mのスケール)はもちろん博物館 地球全体が見えてきました。天の川銀河はまだまだ遠いです。
天の川銀河の姿 観測データから天の川銀河を3亥(がい)分の1=300,000,000,000,000,000,000分の1の模型で再現。
天の川の高精細写真 天の川の高精細写真を迫力ある大写しで展示。
天の川
天の川
見どころクローズアップ 天の川の見どころを拡大写真で紹介します。
冬の大三角 みなみじゅうじ座付近
冬の大三角付近 みなみじゅうじ座付近
天の川銀河の天体たち 天の川銀河を構成する星や星雲、星団を紹介します。
いろいろな銀河 宇宙には天の川銀河のほかにも無数の銀河があります。それらを種類別に紹介。
 関連行事

 講演会
第1回 「電波で探る天の川銀河」 平松 正顕 氏(国立天文台チリ観測所 助教) →講師プロフィール
日時:3月31日(日) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:自由  料金;無料
第2回 「天の川銀河の精密測量」 本間 希樹 氏(国立天文台水沢VLBI観測所 准教授) →講師プロフィール
日時:4月6日(土) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:自由  料金;無料
第3回 「VERAが見つめる私たちの天の川銀河」 松本 尚子 氏(国立天文台水沢VLBI観測所 研究員) →講師プロフィール
日時:4月7日(日) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:自由  料金;無料
第4回 「TMTで探る銀河の誕生」 家 正則 氏(国立天文台TMT推進室 教授) →講師プロフィール
日時:4月29日(祝) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:自由  料金;無料

講演会講師プロフィール
第1回
平松 正顕(ひらまつ まさあき)氏

大学共同利用機関法人 国立天文台 チリ観測所 助教

 1980年、岡山県生まれ。博士(理学)。2008年、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。台湾中央研究院天文及天文物理研究所 博士研究員/ALMA地域センターアストロノマーを経て2011年3月より国立天文台ALMA推進室(2012年4月より、チリ観測所)助教。総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻 助教を併任。
 研究分野は電波天文学、星形成。野辺山45m電波望遠鏡、10mASTE望遠鏡(チリ)、サブミリ波干渉計SMA(ハワイ)などを用いて、太陽程度の質量の恒星が誕生する現場を観測している。特に、生まれ来る恒星の質量が決まるメカニズム、低質量原始星のまさに誕生の瞬間などを観測的に明らかにしたいと考えている。
 また、チリに設置されたアルマ望遠鏡の教育・広報主任として、講演活動や各種取材対応、文章執筆などを精力的に行っている。
第2回
本間 希樹(ほんま まれき)氏
大学共同利用機関法人 国立天文台 水沢VLBI観測所 准教授

 1971年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程終了。国立天文台COE研究員、 助手を経て 現在国立天文台水沢VLBI観測所准教授。
 研究テーマはVLBI技術を用いた超高分解能観 測天文学。 現在、銀河系の3次元立体構造を精密測量する国立天文台のVERAプロジェクトを主導 して いる。また、最近は巨大ブラックホールを直接撮像するサブミリ波VLBIプロジェクト も 推進している。
 著書に『現代の天文学 -- 銀河I』、『現代の天文学 -- 銀河II』、 『現代の天文学 -- 天体の位置と運動』(日本評論社:共同執筆)など。
第3回
松本 尚子(まつもと なおこ)氏
大学共同利用機関法人 国立天文台 水沢VLBI観測所 研究員

 1983年生まれ。2011年春に総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻博士課程修了。 その後、国立天文台水沢VLBI観測所にて1年間の日本学術振興会特別研究員を経て、 現在、同観測所のプロジェクト研究員としてVERAプロジェクトに携わっている。
 高精度位置天文学に興味を持ち、VERAプロジェクトの目的である銀河系3次元立体構造の精密測定で、 主に銀河系の棒状構造に着目している。また、その銀河系を構成する大質量星形成領域や 晩期型星の周辺構造の研究も行っている。最近は、日韓合同VLBI観測にも注力している。
  時々、サックスを吹いたり野球やジョギング等で体を動かして気分転換・体力作りも行っている。
第4回
家 正則(いえ まさのり)氏
大学共同利用機関法人 国立天文台 TMT推進室 教授

 1949年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程(天文学専攻)修了。東京大学理学博士。日本学術振興会奨励研究員、東京大学理学部天文学科助手、東京大学東京天文台助手、東京大学東京天文台助教授、国立天文台助教授を経て、現在国立天文台教授。東京大学教授と総合研究大学院大学教授を兼任。
  すばる望遠鏡を用いた銀河の観測的研究として、銀河の形成・進化過程の研究上重要となる最遠銀河の探査観測を行い赤方偏移6.96の世界記録を保持している。宇宙の再電離史の解明を期している。また、お隣のアンドロメダ銀河の恒星を詳しく調べることにより、アンドロメダ銀河の歴史を紐解く研究や、クェーサーの分光学的研究にも力を入れている。
 著書に『すばる望遠鏡』(岩波ジュニア新書)、『宇宙の観測』(放送大学:共同執筆)、 『銀河が語る宇宙の進化』(培風館)など。
 体験教室「天の川銀河の模型を作ろう」
第1回 日時:4月21日(日) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:往復はがきに作られる方全員の氏名、代表者の住所・電話番号を書いて4月12日(金)までに博物館へ申込  定員:20組(応募多数時抽選)  料金:無料
第2回 日時:5月4日(土) 午後3時30分~午後5時
場所:講堂  参加:往復はがきに作られる方全員の氏名、代表者の住所・電話番号を書いて4月19日(金)までに博物館へ申込  定員:20組(応募多数時抽選)  料金:無料
 プラネタリウム特別投影「ギャラクシー・クルーズ」 ※第1回第2回ともに内容は同じです。
第1回 日時:3月23日(土) 午後3時30分~午後5時
場所:プラネタリウム室  参加:自由  料金:無料  担当:鴈 宏道(当館館長・学芸員)
第2回 日時:4月27日(土) 午後3時30分~午後5時
場所:プラネタリウム室  参加:自由  料金:無料  担当:塚田 健(当館学芸員)
 特別展示解説  場所:博物館特別展示室  参加:自由  各回50分程度
第1回 3月20日(祝) (1)午前11時~ (2)午後2時~ 
第2回 3月30日(土) 午後1時~
第3回 4月14日(土) 午後3時30分~
第4回 4月29日(祝) (1)午前11時~ (2)午後2時~
第5回 5月5日(日) 午後3時30分~
 特別展図録
平成二十四年度 春期特別展図録『天の川銀河へようこそ』

平成二十四年度 春期特別展図録『天の川銀河へようこそ』

目次

第1章 天の川銀河へようこそ
1-1 天の川銀河の流れ 1-2 平塚の夜空と天の川 1-3 天の川の高精細写真 1-4 見どころクローズアップ
第2章 天の川銀河の姿
2-1 天の川銀河の全体像 2-2 天の川銀河観測の歴史 2-3 天の川銀河大解剖 2-4 いろいろな“光”で見た天の川
第3章 天の川銀河の天体たち
3-1 銀河の主役、恒星 3-2 星の生まれるところ 3-3 散開星団 3-4 星の最期 3-5 球状星団
第4章 さまざまな銀河たち
4-1 ハッブル分類 4-2 楕円銀河 4-3 渦巻銀河 4-4 棒渦巻銀河・不規則銀河 4-5 特異銀河

A4判
56頁
950円