写真:昭和34年発掘調査時の塚越古墳
「相武国」とはどこにあった国でしょうか。相模と武蔵の連合国でしょうか。これは、「さがむのくに」と読みます。相模国が成立する以前に、私たち平塚の地が属していた国の名なのです。それは古墳時代のことです。
相模の国の名は、『日本書紀』の天武4年(675)の記録が初見です。律令社会が成立する前の古墳時代の相模は、相武国と師長国(しながのくに)、それに鎌倉別(かまくらのわけ)の三つの勢力が展開していました。それぞれの勢力範囲は、相武国はおおむね相模川流域で、伊勢原に国造(くにのみやつこ)が置かれ、師長国は酒匂川流域、鎌倉別は鎌倉や三浦半島に展開されていました。三つの勢力が出現する背景には、大和政権が東国に進出してきた過程と深い関わりがあると考えられ、在地首長層の古墳造墓が活発に行われていました。
特別展では、南関東の前期古墳を代表する平塚市真土大塚山古墳をはじめ、その後の相模川流域に築かれた古墳の様相から、相武国の萌芽・展開・確立を展望します。さらに、この大きな流れを把握することにより、なぜ相武国造の本貫地から離れた平塚市四之宮に相模国府が置かれたのか、その要因を古墳を素材として考えてみたいと思います。
○記念講演会・シンポジウム
・講演会「ヤマト政権と相武国」
講師:望月幹夫(東京国立博物館)
・シンポジウム「相武国の古墳」
パネリスト
望月幹夫(東京国立博物館)
荒井秀規(藤沢市教育委員会)
西川修一(神奈川県教育委員会)
高橋 和(茅ヶ崎市文化振興財団)
立花 実(伊勢原市教育委員会)
田尾誠敏(大正大学)
明石 新(平塚市博物館)
日 時:8月4日(土)10時~16時
会 場:中央公民館小ホール
参 加:自由
定 員:250名
○記念行事「相武国の古墳を歩く」
・1回目「伊勢原の古墳を歩く」
日 時:8月12日(日)10時~14時
講 師:諏訪間伸氏(伊勢原市教育委員会)
・2回目「海老名市の古墳を歩く」
日 時:8月19日(日)10時~14時
講 師:押方みはる氏(海老名市教育委員会)
○図録『相武国の古墳-相模川流域の古墳時代-』 完売しました。