特別展・企画展 案内
寄贈品コーナー
2011年10月29日(土)~11月29日(火)
 3月11日の東日本大震災は記憶に新しいことでしょう。相模平野地域でも、平塚市域では岡崎の用水路(上ノ入川)沿いや真田地区の大根川沿いで、秦野市域では大根川沿いのおおね公園や南鶴巻周辺で、茅ヶ崎市域では駒寄川沿いのみずき地区で、地盤が沈下したり、液状化により砂が吹き上がったり、ブロック塀が倒壊したり、瓦が落下したり、電柱が傾いたりしました。被害が大きかったこれらの地区はいずれも台地を刻む小河川の谷戸で、かつて水田地帯であったところで、厚い軟弱地盤からなっている地域でした。このほかの地区でも、ブロック塀が倒壊したり、地割れが走ったり、建物に亀裂が入った箇所が、かなりあります。

 地震後、博物館には、市民の皆様から地盤についての問い合わせが多数寄せられています。そこで、今回の寄贈品コーナーでは「平塚の地盤と活断層」をテーマに取り上げました。

 平塚市域の地盤は、海に堆積した砂からなる地盤、相模川や金目川が氾濫して堆積した主に泥からなる地盤、丘陵を作る赤土からなる地盤に、大きく分けられます。地盤は地下を掘らないと見ることができませんが、地表の凹凸した微地形から、推定することができます。今回の展示では、地形と地盤との関係、平野の地盤―特に液状化や軟弱地盤について、丘陵に走る活断層について取り上げます。特に「平塚周辺の地盤図」を展示しますので、自分の家の地盤が、かつての海岸に堆積した水はけの良い砂地盤なのか、川が氾濫したときの湿地なのか、昔の川の跡なのかなどを確認していただけたらと思います。地盤として良好な丘陵地には、活断層が走っています。活断層は今後、いつ動くのかがほとんどわかっていません。過去の断層の履歴や活動間隔を調べる必要があります。

 私たちの住む神奈川県は相模湾を走るプレート境界の北側に位置しており、地殻変動の激しい場所ですから、地震による変動と向かい合っていかなければなりません。この機会に私たちの住む平塚の地盤について、見直していただけたらと思います。

 また、市民の津波に対しての関心も非常に高くなっています。甚大な被害を出した東北地方の今回の津波は、内陸5~6kmに達しました。平塚でいえば豊田~四之宮まで達したことになります。東北地方はプレート境界から離れていて地震時に沈降するのに対し、南関東はプレート境界に近くて、地震時に隆起する地域です。したがって、仙台平野は非常に勾配の緩い三角州が発達するのに対して、相模平野は相模川が下流まで礫を運び、広い砂州砂丘地帯が発達しているという違いがあります。ですから、たとえ同じ規模の津波が来たとしても、同様のことは平塚では起こりえないことです。しかし、相模川や金目川の河口沿いの低地では十分な注意が必要であることはいうまでもありません。

 この展示の関連行事として、下記のように平塚の地盤についての講演会を行います。参加自由ですのでご参加ください。

講演会「地震と平塚の地盤―軟弱地盤と活断層-」
  日時:11月27日(日)14時~16時
  場所:博物館講堂
写真(上):地盤沈下とコンクリートの破壊  写真(下):用水路の亀裂