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海に生きる鳥 (2000.9)
船で海上に出ると、いろいろな種類の海鳥に出会うことができます。夏から秋に、港の近くに多いのはウミネコです。さらに沖に出ると、岸からはなかなか見ることのできない、本当の海鳥が姿を見せます。オオミズナギドリはその代表的な種類です。
いちばん多くの種類が見られるのは、5月から6月にかけての渡りの季節で、平塚沖でもトウゾクカモメ・アカエリヒレアシシギ・ハシボソミズナギドリなどが観察されています。
ウミネコ
定置網のブイの上で羽を休めているのはウミネコです。夏に相模湾にいるのは、まだ繁殖活動(巣作りや子育て)に参加しない若い鳥なので、茶色や灰色のはっきりしない色合いをしています。
ウミネコはカモメのなかまで、魚の死体や弱った魚、漁船や港から捨てられる魚のあらなどを食べています。海の掃除屋というわけです。
オオミズナギドリ
相模湾の海上で、数百羽が群れているような海鳥に出会ったら、まずこの種類とみてまちがいありません。伊豆諸島の御蔵島では、数万羽のオオミズナギドリが繁殖しており、春から秋まで相模湾でも多くの数が見られます。オオミズナギドリをはじめとするミズナギドリ類は海面低く飛ぶのが特徴で、水平線よりも高く飛ぶことはあまりありません。
オオミズナギドリは小魚やイカを餌にしており、イワシなどの群がカツオなどに海中から追い上げられた場所に集まってきます。ですから、オオミズナギドリの群は、漁師さんにとってカツオなどのいる場所の目印になり、「なぶら」と呼ばれています。
コアホウドリ
相模湾に入ってくる海鳥の中で、最大のものはコアホウドリです。翼を広げると2mにもなる大きな鳥で、最近では1999年の6月と11月に真鶴沖で観察されました。
コアホウドリは、魚やイカを食べる鳥ですが、海面に浮かんだプラスチックなどを飲み込むことがあり、大磯海岸で見つかった死体の胃の中からは、プラスチック片が見つかりました。
<写真:1999.6.2 青木雄司氏撮影>