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    テントウムシの卵 (2004.3)

探偵「最後に、この卵を見てもらおうかな。」ナナホシテントウの卵
博「今まで見た卵となんかちがうね。」
物子「そうね、春の卵っぽい。」
探偵「春の卵か。うまいことを言うね。これはナナホシテントウの卵だ。」
博「ナナホシテントウなら成虫で冬を越す虫でしょ。」
探偵「そうなんだけどね。冬でも暖かい日が続くと、活動を始めて卵を産むようなことがある。この卵は2月15日に相模川で見つけたものなんだ。」
博「今年の冬は暖かかったから、早く卵を産み始めたっていうことだね。春が早く来たようでいいじゃない。」
探偵「そう喜んでばかりもいられないよ。今まで見てきたガやカマキリ・アブラムシなんかの卵は、休眠(きゅうみん)という性質を持っていて、日が長くなって春が来たとはっきり分かる時まで、眠っている。ところが、もともとは春に産まれるテントウムシの卵は、この休眠の性質がないから、暖かい日が続くと孵化(ふか)してしまうだろう。するとどうなると思う?」
物子「どうなるって、歩き出して餌を探すんでしょ。」
探偵「その餌が問題だろ。」
博「そうか、テントウムシの幼虫が出てきても、餌になるアブラムシがいないんじゃ困っちゃうね。」
探偵「その通りだよ。大きく言うと地球の温暖化(おんだんか)という変化が動物にも影響を与えているんだけど、ただ、時期的に早く出てくるというだけの話じゃなくて、生きもののつながりに狂いが生まれるということだね。」
物子「温暖化の原因は人間にあるって習ったわ。」
探偵「そうだね。少なくとも原因の一部は人間が石油を燃やして出している二酸化炭素だ。そういう地球全体の問題が、身近な動物にも関係していることを忘れないようにね。」


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