自然探偵とカキの実の熟す頃 (2007.11)
物子「カキの実が熟す頃になって、秋たけなわね。」
博「たけなわなんて、むつかしい言葉を知ってるね。」
物子「冷やかさないでよね。秋たけなわとは言うけど、夏たけなわとか冬たけなわとかは言わないのよ。博君、知ってる?」
探偵「それはそうと、カキの実は自然観察にも面白いテーマになるよ。」
博「どうして?おいしいのは分かるけど。」
探偵「カキの実がおいしいのは、熟すと甘いからだよね。その甘みを求めていろんな動物がやってくるのさ。」
物子「鳥がついばんでいるのは見たことがあるわ。」
探偵「こんなことを言う地方もあるそうだ。カキに実がなったら、真ん中の高さの3分の1だけを収穫して食べる。上の方の3分の1は鳥のために残してやるというんだね。それでは、下の方の3分の1はだれのために残すんだろう?」
博「獣かな?」
探偵「残念でした。旅人のためと言うんだ。いかにも歩いて旅をする人の多かった時代らしい話だね。」
博「でも、獣もカキの実を食べに来るんでしょ。」
探偵「それは確かだよ。下に落ちた実はタヌキなんかが喜んで食べるし、木登りの上手なハクビシンもよく実を食べに来る。」
物子「ところで、カキには渋柿もあるわよね。」
博「そうそう、一度渋柿をかじったら、口の中がしわしわになってしばらく変な感じだった。」
探偵「渋柿をかじっておくのも大事だと思うよ。そうしないと渋いという言葉の意味も分からないものね。」
→ カキの実に来た鳥
→ カキの実に来たチョウ
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