野鳥の観察 (6.コミュニケーション)

声によるコミュニケーション

ガイドブック14 野鳥の観察 平成7年3月発行

鳥は、いろいろな情報を声によって交換しています。求愛の意志を伝える、他の雄に警告する、外敵の接近を知らせるなど、声は様々な場面で様々な情報を伝達しているのです。
特に小鳥類では、声によるコミュニケーションが発達していますが、それは見通しの悪い森林にすむ種類が多いためと考えられます。一方、水鳥では声のレパートリーは少なく、単調な声しか出さない種類がほとんどです。
鳥の出す声は、大きく「さえずり」と「地鳴き」に分けられます。さえずりは、主に繁殖期に雄が出す声で、他の雄に対して縄張りを宣言する、雌に対して自分の存在を知らせてつがいになるように誘うという二つの意味があると考えられています。また、雌を誘うことを通して同じ種の個体がつがいになるのを保証する役目も持っています。実際、ムシクイ類のように、姿はそっくりでもさえずりはまったく違っているグループがあります。
さえずりは、もともとは、スズメ目の小鳥類の出す音楽的な声をさしますが、ハト類、カッコウ類、フクロウ類なども、働きから考えてさえずりと呼んでよい声を出します。
さえずり以外の声を地鳴きと呼びます。さえずりが複雑な音から構成されているのに比べて、地鳴きは2、3音節の短い声である場合がほとんどです。
小鳥類ではホオジロやオオルリのようにさえずりと地鳴きの区別がはっきりしている種類がほとんどですが、スズメ・ヒヨドリ・ウソのようにその区別がつかない種類もあります。そうした種類では注意深く声を聞き分け、行動とのつながりを調べていかないと声の意味がつかめません。

68 さえずるオオヨシキリ