野鳥の観察 (5.体の手入れ)

羽づくろい

ガイドブック14 野鳥の観察 平成7年3月発行

羽毛を持つことは、すべての鳥類に共通したもっとも大きな特徴です。そして、羽毛には鳥にとってなくてはならないだいじな働きがあります。体を包む羽毛は、熱を通しにくい空気の層を作り、体温を維持する役目を持っています。冬になると鳥が丸く見えるのは、羽毛をよりふくらませ、空気の層を多くするからです。また羽毛は翼や尾を作り、鳥の飛行の原動力にもなっています。こうしただいじな働きを持った羽毛の手入れを羽づくろいと呼んでいます。
羽づくろいの主な道具はくちばしで、羽毛をついばむようにしたり、はさんですくようにしていきます。ほつれを直す、重なりを整 える、寄生虫を取り除くなどが羽づくろいの役目です。

58 羽づくろいをするヤマセミ

P58

☆チェック☆58表
安全な場所で十分な余裕があると、鳥は次々に羽をつくろい、全身の羽毛を整えていきます。そんなようすを観察する機会があったら、どんな順番で羽づくろいをしたか記録してみましょう。

P59-1
★脂を塗る
羽づくろいの中で重要な行動に、尾羽の付け根にある脂腺から出る脂を羽毛に塗り付けることがあります。この脂には防水の意味があり、水鳥にとっては特に重要な行動です。

P59-2
★相互羽づくろい
並んだ鳥がお互いの羽をつくろいあう光景を見ることがあります。こうした羽づくろいを「相互羽づくろい」と呼び、メジロ、キジバトなどでは比較的よく見る機会があります。電線の上で相互羽づくろいをしているキジバトはほほえましいものです。こうした羽づくろいをしている鳥はつがいになっている雄雌と考えられます。大型の鳥ではヘラサギでこの行動が観察されます。
相互羽づくろいには、自分のくちばしが届かない頭などもつくろってもらえる利点があります。また、それだけではなく、スキンシップをとることで、つがいのきずなを強める働きもあると考えられます。つまり、相互羽づくろいは求愛のディスプレー(→P.77)の1種と考えられます。