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9月 外国から来た貝

平塚の水辺 (海辺の自然)

9月 外国から来た貝

最終更新 1999年9月

 写真は、砂浜で見つけた3種類の貝を並べてとったものですが、これらにはある共通点があります。それは、3つとも外国からやってきた貝だということです。紫色のはヨーロッパ原産のムラサキイガイで、日本に入ってきたのは戦前のことです。中央に置いた、縁が緑色を帯びたものは熱帯アジア原産のミドリイガイで、1965年に初めて見つかりました。一番右の、殻の内側に仕切があるのはシマメノウフネガイで、原産地はアメリカ、1968年に三浦半島で初めて記録されました。
 これらの貝がどうやって日本に入って来たかを物語るはっきりした証拠はありませんが、イガイの仲間は他のものに付着する性質が強いので、おそらく船底について来たのではないかと考えられています。また、シマメノウフネガイは他の貝の貝殻におぶさるように着くことが多く、やはり密航してきた可能性が強いと言われています。
 貝に限らず、外国からやってきた帰化動物は、日本の環境で生活できる種類だと急激に数を増やし、勢力を広げることがあります。ムラサキイガイは、水の汚れた内湾部でも生活できるので、特に数が多く、東京湾などではもっとも数の多い貝になっています。シマメノウフネガイもサザエなどにたくさん着くことがあり、養殖業者から嫌われるほどの存在になっています。熱帯が生まれ故郷のミドリイガイは、それほど増えないのではないかと予想されていたのですが、平塚などでは明らかに冬を越した大きな殻も見つかっており、今後の動向が注目されます。
 何気なく見ている砂浜の貝の世界にも、人間の活動が原因になった変化が生じているのです。

3種類の帰化した貝
(左からムラサキイガイ・ミドリイガイ・シマメノウフネガイ)

ムラサキイガイ・ミドリイガイ・シマメノウフネガイ




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