浜辺でよく拾う物で、誰もが何だろうと首をかしげる物の一つに、イカの甲があります。サーフボードの形をした白い物と言えば、きっとどこかで見かけたことがあるでしょう。 イカといっても、どんなイカにも厚い甲があるわけではありません。ヤリイカやスルメイカでは、甲が透明で細い形をしています。煮たイカからすっと引き抜くプラスチックのような物が甲だと言えば、分かりやすいでしょうか。 一方、コウイカ類と呼ばれるグループでは、背中に厚みのある甲を持っています。この甲は割ってみると、多くの薄い層が積み重なった構造をしていおり、浮きの役目をしていると考えられています。いちばん普通に見られるコウイカという種類では、甲が白い色をしていますが、ウスベニコウイカではきれいなピンク色をしています。 コウイカの甲には、エボシガイが数多くついていることがあります。エボシガイがついているということは、甲が水に浮き、海流で長い距離を運ばれる可能性があることを示しています。 2年ほど前、藤沢市の海岸で長さが30cm以上ある巨大な甲が見つかりました。この甲は、沖縄の海に生息するコブシメという名の大きなコウイカ類のものでした。おそらく、黒潮に乗って2千キロ以上の旅をして、湘南海岸までたどり着いたものだったのでしょう。 コウイカの甲は、飼い鳥のカルシウムの補給に使われることがあり、昔はニワトリによく与えたという話を聞いたことがあります。 | |
流れ着いたコウイカの甲 |
コウイカの甲についたエボシガイのなかま |
コウイカとその甲 |
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