平塚の水辺 (海辺の自然)

1月 二枚貝に開いた不思議な穴

最終更新 1999年9月

 海岸に打ち上げられている二枚貝を多く集めて見ると、不思議なことに気づきます。直径3〜4mmくらいのきれいな丸い穴が開いた貝殻がよく見つかるのです。その多くは殻のてっぺん(2枚が合わさった時に、ちょうつがいになる方)に開けられています。いったい、誰の仕業なのでしょうか。穴をよく観察すると、少しすり鉢型の断面をしており、やすりのような物で削って開けた穴のように見えます。また、この穴は、コタマガイのような厚い殻の貝にも、サクラガイのような薄い殻の貝にも同じように開けられていますから、その犯人はそうとう高度な技術を持っていると推測されます。
 海岸には、いろいろな種類の巻き貝も打ち上がっていますが、実は穴を開けた犯人はその中にいるのです。それはツメタガイという丸っこい形をした種類で、大きなものは直径7〜8cmになります。砂底の海底にすんでいるツメタガイは、二枚貝に出会うと、大きく広がる身で相手をすっぽりおおい、口についているやすり状の歯で、殻をこすって穴を開けるのだそうです。そしてそこから消化液を注入して、身を溶かし、すすって飲み込んでしまいます。ツメタガイはどうもうな肉食の貝なのです。
 穴の開いた二枚貝を多く集めると、ツメタガイがどんな種類の貝、どんな大きさの貝を餌にしているかがよく分かります。ぜひ探してみてください。穴に、チェーンか何かを通せば、素敵なネックレスになるかもしれません。

丸い穴の開いた二枚貝のいろいろ

ツメタガイの殻