岡崎字上ノ入(岡崎小学校校庭内に)所在し、伊勢原台地の南端、丸島から東へ半島状に延びる台地のほぼ中央部に位置します。沖積面との比高15m、標高は30mです。 調査は昭和49年から51年までに4回実施されています。遺跡は縄文・弥生・古墳・歴史時代にわたる複合された性格をもち、縄文時代の遺構は竪穴住居址10軒、敷石住居址2軒、配石遺構群4基、土坑、ピット群が発見され、遺物は中期を主体に後期、晩期のの土器、石器、炭化物、焼けた獣骨などが出土しています。 中期の住居址がまとまって発見され、中には4軒以上が重なり合っており、台地の中で占める住居空間は限定されていたようです。特質すべき遺物には、有効鍔付土器とキツネノカミソリ類の炭化球根の出土です。前者は樽形をした容器で、発酵酒を造るのに用いられたと考えられているものです。県内でも大変珍しい器で、特に文様が面白く、カエルが描かれています。縄文人は蛇と同じように、「再生・豊穣」への願いを込めて表現したと考えられます。後者のキツネノカミソリ類の炭化球根は、今でも日本初出土事例となっており大変貴重な資料です。キツネノカミソリは現在のヒガンバナに大変似てデンプンを含んでいます。食料とした可能性が高いですが、アルカロイドを含んでいることから、水晒しなどの毒抜きが必要です。縄文人の生活の一端を知ることができます。 | |
上ノ入B遺跡第4次調査 丸く重なったものが縄文中期の住居址群 | |
縄文中期の有孔鍔付土器 発酵酒を造る容器・正面のカエルに注目 | |
炭化した縄文食 上:オミクルミ/下:キツネノカミソリ | |
現生のキツネノカミソリ | |
現生のヒガンバナ 江戸時代では飢饉の時に非常食とした。 |