古くは、神は常在せず、年に一度、お祭りの日に訪れ、氏子のもてなしを受けて帰っていくと考えられていました。お祭りにはそうした古い神観念が形式化して残っています。お祭りが近づくと、通りに〆縄を張り、神の訪れる空間を清浄に保ちます。神は高く掲げられた幟を目印に氏子の元を訪れます。行灯や灯籠、提灯などの明かりも夜に神を招くためのものです。神へ供物をし、祝詞をあげ、歌舞や囃子でもてなすことが、神の力を更新することにつながり、五穀豊穣や地域安全がもたらされます。下げた供物を直会でいただき、神の御利益を受けて、明日からの活力を得ます。 |
ヨミヤ(宵宮) 例祭の前日をヨミヤ(宵宮)といい、当日を本祭や本宮という。ヨミヤは朝早くに神社へ集合し、分担して清掃、幟立て、提灯の設置、神楽殿の準備などに当たる。町内ごとに昔から役割分担が決められている神社もある。神社の準備が一通り終わると、山車の飾り付け、神輿の捩り掛けなどをし、夕方から太鼓山車が巡回を始め、夜遅くまで叩く。夜には神輿へ御霊入れがなされ、お仮殿へ安置される。ヨミヤにも演芸会を催し、模擬店を出す神社もある。そして堂番といって数名の当番が拝殿へ詰め、神に一晩奉仕するのが古いしきたりである。前鳥神社や真土神社では続けられている。迎えた神とともに、心ゆくまでお祭りを楽しむのがヨミヤの夜である。 |