平塚のお祭り −その伝統と創造− (I)

1 平塚市の神社祭礼 
神社と祭り

平成17年夏期特別展図録 平成17年7月発行

 湘南ひらつか七夕まつりをはじめ、学園祭に囲碁まつり、博物館まつりに至るまで、今日「祭り」の言葉は観光的なイベントに多用されています。これらイベント的な「祭り」と、特別展で紹介する「お祭り」の違いは、神の存在の有無です。「祭り」とは、そもそも神仏を祀ることです。神を祀るからこそ、神輿渡御やお囃子の太鼓にも熱が入ります。本物の「お祭り」は、イベント祭りにはない熱狂と陶酔があります。特別展では、そんな平塚市内の鎮守51社の例大祭と、鎮守以外で神輿が渡御する7社の祭りを加え、市内58カ所の神社祭礼の今を紹介します。

神社と祭り
 ひとくちに神社といっても、さまざまな規模がある。大字単位などで祀る氏神社をはじめ、町内や集落単位で祀る小祀、本家分家で祀る屋敷の稲荷社、屋内の大神宮や恵比寿大黒も神社である。神を祀る社があれば神社である。
 現在、大字単位で祀っている神社の多くは江戸時代天保年間の『新編相模國風土記稿』に村の鎮守と記載している。平塚では一般に「お宮さん」と呼んでいる。「氏神様」とも言うが、本書では『新編相模國風土記稿』にならって「鎮守」と称することにする。
 鎮守社では、例大祭以外にも、元旦祭、祈年祭、新穀感謝祭など年に数度のお祭りを行う。前鳥神社では毎月1日・15日・28日に月次祭を行う。その中でも年に一度の例祭、例大祭は、地域の一大行事である。