春や秋の宵、平塚の郊外を歩いていると、どこからともなく太鼓の音が聞こえてくることがあります。子供たちが公民館や社務所に集まって練習をしている姿が思い浮かび、この街にはそうした伝統が今も生きているのだなと感じて、ふと胸が熱くなる一時です。
平塚のお祭りというと誰もが思い浮かべるのは七夕祭りでしょう。戦後の復興を祈ってはじめられた七夕は、50年以上を経過した今、すっかり平塚の顔として定着しています。しかし、七夕がどちらかと言えば観光客向きのものであるのに対し、地域の人たちが主人公になって守り育てている多くのお祭りがあることは案外知られていないのではないでしょうか。今回の特別展では、市内にある多くの神社の中から現在でも定期的に祭礼が行われている58社に焦点をあて、そのお祭りのようすを紹介しました。これらのお祭りが、地域の行事として古くからの伝統を伝えるものであると同時に、そこに係る人たちの創意と工夫によって進化し続けていることにも注目していただきたいと思います。 この特別展で、紹介した情報の多くは、博物館の行事として行っている民俗探訪会や平塚市社寺調査会の会員の皆さんと共同で行った調査の中で蓄積してきたものです。参加協力していただいた方々に改めて感謝いたします。 平成17年7月23日 平塚市博物館 館長 浜口 哲一 |
このコンテンツは平成17年度夏季特別展 平塚のお祭り −その伝統と創造− 平成17年7月23日発行 の図録を情報展示に移し変えたものです。 |