今回の特別展では、博物館の原点に返り、モノ、民具にこだわって展示を構成してみま
した。おそらく、大方の人は、食文化といえば何を食べ、どのように作ったのかという点に興 味を持たれると思います。しかし、展示となると、写真展ならともかく、料理そのものの展示は 難しいため、調理器具や器に視点を当てて郷土の食文化の一端を探ることにしました。展 示では、あえて似たような民具をたくさん並べました。その中から細かい違いを発見する楽 しさを感じてもらいたいと思います。 展示の実施にあたり、困ったのは、それぞれの資料の来歴となる情報か不足していたこ とです。寄贈時に細かい情報を寄贈者から教えてもらっていれば、もっと充実した内容に することができたと思います。そのモノに関する固有のデータ、つまり、いつ頃どこで購入し、 どんな機会にどのように使っていたのかという基本的な情報が不足していました。ただ、慌 ただしい状況で資料を受け入れたり、寄顕者側でも代が替わってはっきりしたことが判らな くなっていたりするので、やむを得ない面があるのは確かです。 市町村史などの民俗調査では、食生活に関すれば、いつ、どんな食べ物をどのように作 ったのかという記述が中心になり、今回の展示で必要だったどんな道具で何を作ったのか、 どんな器に何を盛ったのかという、モノからの視点が不足しているように思います。これを 機会に、今後は民具の使われ方に少しこだわって調べてみたいと思います。 なお、展示の開催にあたり、当館の民具に親しむ会の方々に、漆器洗いを手伝ってもらっ たり、民具にまつわる思い出を話してもらったりしました。懐かしい民具を前にすると、昔の 記憶が次々と蘇るようです。展示会場で、会話が弾んでいたら嬉しいですね。 (浜野達也) |
展示協力者(敬称略) 石塚光江 猪股将治 今井輝夫 大嶋成子 斉藤紀美子 菅沼圭介 田部井保 中村和枝 平方珠江 宗像正江 依田勝子 |
冬期特別展 食の民具たち 会期:平成16年1月4日(曰)〜2月29曰(日) ◆体験学習「ソバアゲザルを作ろう」 日時:2月7日(土)10:00〜15:00 ◆講演会「食の道具のはなし」 日時:2月1日(日)14:00〜16:00 講師:昭和のくらし博物館 館長 小泉和子氏 ◆体験学習「民具でむかしの食体験」 第1回「釜で炊いた御飯を食べよう」 日 時:1月24日(土)10:00〜15:00 第2回「石臼挽きの粉で団子を食べよう」 日 時:2月21日(土)10:00〜15:00 |
-------------------------------------------------------- 冬期特別展 食の民具たち 発行年月日:平成16年1月4日 発行:平塚市博物館 〒254-0041 神奈川県平塚市浅間町12-41 TEL.0463-33-5111 FAX、0463-31-3949 印刷:(株)グラフ 〒254-0014 神奈川県平塚市四之宮6-8-1 TEL.0463-54-8000 1.200部 -------------------------------------------------------- |