食の民具たち 平成16年冬季特別展 (7 やきものの器)

やきものの器

図録 平成16年1月発行

 普段の食事に使う食器は、汁椀以外は、ご飯茶碗皿も鉢もほとんどが陶磁器を用いました。煮団子やお蕎麦を盛るには、ご飯茶碗よりやや平たく、大きめの碗を使いました。蓋付きの丼を所有する家もありました。蕎麦猪口は、蕎麦のつけ汁を入れるだけでなく、お膳に付けて煮豆や和え物、酢の物を盛ったりもしたので、人数分を揃いで所有することもありました。
 皿は、大きめの皿に膾などのおかずを盛り、銘々の小皿へ取り分けて使いました。焼き魚をのせたり、刺身を盛るには、舟型や楕円形の皿が多く用いられました。縁に襞のある少し深めの皿は、煮しめなどを盛りました。塗り物の皿もありましたが、普段はあまり使われませんでした。
 大皿では、陶器の砂皿馬の目皿を所有していた家もあります。砂皿は、皿の内側に砂粒の跡が焼き付けられていることによる呼称と思われますが、石皿と呼ばれることもあります。これは、窯の中で皿を何枚も積み重ねて焼くため、皿同士がくっつかないように間に撒いた砂が焼き付けられて残ったものです。主に瀬戸で明治中期頃まで作られ、煮しめなどを盛った皿です。
馬の目皿は、主に瀬戸で江戸後期から明治初期まで焼かれました。
 円形の鉢を三段に積み重ねて上に蓋をした器があり、重ねものなどと呼ばれます。正月に数の子、きんぴら、煮豆などを入れて重ねておき、年始のお客さんなどが来たときに出した器です。中の物が少なくなると、補充して、いつでも出せるようにしておきました。

陶磁器(とうじき) 丼(どんぶり) 蕎麦猪口(そばちょこ) 和え物(あえもの) 膾(なます) 楕円形(だえんけい) 襞(ひだ) 陶器(とうき) 砂皿(すなざら) 窯(かま) 撒いた(まいた)