平塚・石仏めぐり-旧市内編- (4・旧平塚宿)

六地蔵


六地蔵というのは、寺院や墓地の入口に並んで建てられている6体の地蔵のことです。風雨にさらされたり、排仏毀釈などによって破損している場合が多く、古いものは少なくなっていますが、上平塚の宝積院山門には下の写真のように2組の六地蔵があります。左の六地蔵は宝暦3年(1753)、右の六地蔵は寛政9年(1797)の銘をもっています。
六地蔵というのは、地蔵が六道を輪廻転生する衆生を救うということから起こった信仰で、室町時代の末から寺院や墓地に石造の六地蔵が見られるようになったとされています。
六地蔵を見る場合に注目したいのは、それぞれの地蔵尊の持ち物です。左の六地蔵は右からいうと、幢幡、香炉、念珠、含掌、右手に錫杖・左手に如意珠、右手は甘露印・左手に宝珠で、右の六地蔵は右から幢幡、幢幡、合掌、念珠、右手に錫杖・左手に如意珠、柄香炉となっています。一般的にいって江戸時代の六地蔵は「仏像図絵」にかかれた1・念珠、2・右手は施無畏印・左手は引摂印、3・合掌、4・右手に錫杖・左手に如意珠、5・柄香炉、6・幢幡の組合せが多いとされていますが、宝積院の六地蔵はこれとは若干異なっています。

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