平塚・石仏めぐり-旧市内編- (2・旧須賀村)

神名塔


社寺や祠堂とは別に、石塔に神名や仏名を刻んでまつることもあります。須賀ではこのような石塔が7基確認できています。写真はこのうちの5基です。
三島神社の境内には、「慶應三卯八月日 金毘羅大権□ 大山不動□ 願主七左衛門」と刻んだ板駒型の石塔、「明治廿二年十月十五日 御嶽大神 当所磯崎新太郎 祭主雲出清太郎 建之」とある自然石の石塔、「若宮霊神 施主 良八」とある駒型の石塔の3基があります。西町の稲荷神杜境内には、「明治参拾九年八月吉日 荒澤不動明王 世話人 長谷川濱吉 長谷川熊次郎 後藤藤次郎 脇田浦次郎 相原慶之助」という銘と不動明王の陰刻のある自然石の石塔と、「明治四十年何月口日 猫塚大明神 毎月十八日祭日□」と彫った角柱塔があり、港稲荷社境内には「石橋神」という銘の兜巾の塔、竜宮社境内には「高雄山大権現 後藤留五郎 長谷川次良吉 菊池ハマ後□由五郎立」とある自然石の石塔があります。
ここにあげた神仏名塔は、金毘羅・大山不動塔、御嶽大神塔、荒澤不動明王塔、高雄山大権現塔のように有名社寺への信仰、つまりこれらを勧請した形でまつる石塔、猫塚大明神塔や石橋神塔のように供養の対象物を神仏としてまつる石塔、若宮霊神塔のように日本人の神信仰の一端をあらわした石塔にわけることができます。
有名社寺の神仏名塔のうち、金毘羅大権現は四国の金毘羅宮、大山不動尊は伊勢原市の大山不動のことで、ともに漁業者の信仰を集めています。御嶽大明神は東京の青梅市の御嶽神社、高雄大権現は東京の八王子市の高雄山のことです。
若宮霊神は、たたりなどをなす御霊信仰の神格の一つです。

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