平塚の遺跡

田村天神前遺跡

たむらてんじんまえいせき

最終更新 1998年5月

田村字天神前に所在し、相模川によって形成された自然堤防に立地します。発見された遺構は住居址11基、土坑5碁、ピット60本、溝状遺構11条、不明遺構3基が検出されています。住居址は古墳後期と古代の2時期が検出されています。この時期は居住空間の場であったことが分かります。駿東型(静岡県東部地域)の甕や湖西産(静岡県湖西市の湖西窯跡群)の7世紀前半の須恵器坏が出土しています。この地域の歴史を知る手だてとして、数少ない記録が『日本三代実録』に残されています。清和天皇2年の条に「貞観元(859)年三月五日辛酉授相模国大住郡大領外従五位壬生直廣主従五位下。正六位上大神朝臣田仲麻呂外従五位下」と記載されています。ここに見える大神朝臣田仲麻呂は大神の地の人で、大住郡の郡司(大領は郡衙の長官をさします)ですので、その勢力基盤は大神周辺一帯に求められます。田村天神前遺跡の成果からも、その世界の一端がうかがわれるかと思います。

田村天神前遺跡_全体写真

田村天神前遺跡_住居址群

田村天神前遺跡_2号住居址

田村天神前遺跡_2号住居址出土遺物状況