当館のワーキンググループのひとつ、天体観察会の活動の一環で、2月9日(日)の夜、平塚海岸へカノープスを見に行きました。

カノープスとは、りゅうこつ座の最も明るい星のこと。全天に21ある1等星のひとつで、実はおおいぬ座のシリウスに次いで全天で2番目に明るい恒星(太陽を除く)なのですが、日本のほとんどの地域では地(水)平線の上ギリギリにしか昇らないか、そもそも地平線上にまったく昇らないため、見ることが難しく、昇ったとしても3等星くらいの明るさでしか見えません。その見にくさから、見ると長生きできる、という言い伝えもあります。

そんなカノープス、南が海に面していることもあって平塚では海岸や湘南平などで比較的容易に見ることができます。天体観察会では毎年、カノープスを見に平塚海岸に繰り出していました。とはいえコロナ禍や悪天候などが重なって、今年は5年ぶり以上にカノープスを見に行くことができました。空が澄んでいたのでしょう。水平線上に雲があり、ときどき隠されることはあったものの、肉眼でも容易にカノープスを見ることができました。明るいときは2等星……オリオン座の三ツ星に匹敵する明るさで見え、こんなに簡単に見えていいものか、と拍子抜けしたくらいです。そうそう、カノープスは本来、青白い星なのですが、低空で大気の影響をものすごく受けるため、日本では見えたとしても赤っぽく見えます(夕日が赤く見えるのと同じ原理です)。下の写真でもオレンジ色に写っていますね。

この日は月明かりがあったものの、冬の星空もあわせて堪能できました。また思いがけず富士山の稜線に沈んでいく金星も見ることができ、歓声が上がりました。

天気に恵まれた割に寒くなく、参加者全員がカノープスを視認することができ、大いに盛り上がった観察会となりました。来年もまた晴れますように!

画像提供:大井正子さん(1枚目・6枚目)/後藤肇さん(2~5枚目)