といっても、お寿司とか天プラとかステーキとか、という話ではありません。夜空に見られる「食」のお話です。

天文現象で「食」というと、真っ先に思い浮かぶのは日食や月食でしょうか。2022年11月8日の皆既月食は記憶に新しいかもしれません(下画像)。天文現象の「食」には、ほかにも月が星を隠す「星食」、月が惑星を隠す「惑星食」などがあるのですが、実は今月、見た目が異なる「星食」が立て続けに3つも見られるのです。

まずは昨夕の公式X(旧Twitter)でもご案内した「土星食」。その名の通り、月が土星を隠す現象です。起きるのは12月8日……そう、今日なのです!潜入開始(土星が月に隠され始める)のが18時18分、出現開始(土星が月の向こう側から見え始める)のが19時ちょうどです。肉眼でも楽しめますし、望遠鏡では環を持つ土星が徐々に月に隠されていく様子が見られて圧巻です。下の画像は2002年1月24日に起きた土星食の様子。平塚で土星食が見られるのはこのとき以来です。天気は良さそう……ぜひ見てくださいね!

今週末12月14日(土)の未明にはプレヤデス星団(和名すばる)が月に隠される「プレヤデス星団の食(すばる食)」が起こります。星団の食は、星が次から次へと隠されていく様子が見られ圧巻です。特にプレヤデス星団の星々は明るいので見映えがします。ただ、今回は月齢が12~13とかなり月が明るく(満月の約1日半前)、さすがのプレヤデス星団の星々も月明りに負けてしまいます。月が眩しすぎて、肉眼ではおろか双眼鏡でも見るのが難しいかもしれません。最初の星が隠される時点で月の高度は22度しかありません。プレヤデス星団の食は来年にも何回かチャンスがありますので、今回は無理して見なくても……?ただ、ふたご座流星群の極大夜の前夜でもあるので、晴れていたら流星を待ちながら狙うのもありかもしれません。

2024年12月14日3時20分

最後を飾るのは月がおとめ座の1等星スピカを隠す「スピカ食」。見られるのは12月25日の未明……サンタクロースが忙しく飛び回っている頃でしょうか?星食は明るい星ほど見映えがするのわけですが、1等星のうち星食が起きる星は4つしかありません。すなわち、おとめ座のスピカ、さそり座のアンタレス、おうし座のアルデバラン、しし座のレグルスです。いずれも誕生星座(黄道十二星座)の星ですね。それもそのはず、空(天球)における月の通り道「白道」は、天球上の太陽の通り道「黄道」とほぼ重なっているからです。2026年には「レグルス食」が、2035年にはアルデバラン食が、2042年にはアンタレス食がそれぞれ見られますが、スピカ食は今回を逃すと平塚では2069年まで見られません!晴天祈願ですね!
12月25日未明のスピカ食は、平塚では3時16分過ぎに月の明るい側にスピカが隠され(明縁潜入)、4時14分過ぎに月の暗い側から出てきます(暗縁出現)。未明というもっとも寒くて眠い時間帯に起きることを除けば、月も明るすぎず絶好の条件のスピカ食と言えるでしょう。肉眼でも楽しめますが、オペラグラスや双眼鏡があるとなおいいですね。これを機に買うというのも……?

2024年12月25日3時15分

2024年の締めくくりともいうべき天文現象×3。お見逃しなく!