雲に悩まされる日が続いていましたが、10月2日の早朝、ようやく紫金山・ATLAS彗星を平塚市内でも撮影することができました(そういえば同日、当館学芸員も伊香保温泉で撮影に成功されていましたね)。

上の画像は天体観察会会員の大井正子さんが市内のご自宅で撮影したもの(なので、私自身はまだ彗星に出会えていません……)。もう朝焼けが始まっている時間帯、東の低空に長い尾を伸ばして現れた彗星の姿がしっかりと捉えられています。市街地でここまで尾を伸ばした姿が撮影できたのは1997年のヘール・ボップ彗星以来ではないでしょうか(下の画像)。ここのところ日本など北半球中緯度以北の地域では大彗星に恵まれてこなかったので、ようやく感があります。

さて、東の低空に見えていた紫金山・ATLAS彗星ですが、この後は見かけ上、太陽に近づくため、しばらく観察できない日が続きます。あ、それでも太陽観測衛星SOHOのカメラの一つ、LASCO C3の視野には入ってくるのでチェックしてみてはいかがでしょう?
そして10月中旬には、彗星が夕方の西の空に回ってきます。なので、10月中旬以降が彗星を観察するチャンスと言えるでしょう。彗星の観察好機は、大きく2つの時期に分けることができます。
1つ目は、10月12日(金)~10月19日(土)頃。太陽や地球から遠ざかりつつある彗星ですが、まだそこまで離れるわけではないので、それなりに明るさに見えるはずです。ネックは、初めのうちはまだ彗星の高度が低いことと月明かりの影響を受けることでしょう。ただ彗星が観察できる時間帯を考えると月明かりの影響はあまり考慮する必要はありませんし、そもそも街中であれば月明かり以上に彗星の邪魔をするもの=街明かりがありますから、そこまで影響が大きいかと問われればNoでしょう。下の2つの画像のうち上が10月13日(日)18時の西の空の様子、下が10月15日(火)18時30分の西の空の様子です(いずれもアストロアーツ/ステラナビゲータで作成)。

2つ目は、10月20日(日)頃から10月の終わりくらいまで。彗星はどんどん暗くなっていってしまいますが、同じ時刻の高度はどんどん上がっていきます。加えて月明かりの影響が小さくなっていきますから、暗夜に彗星を見るチャンスです。写真を撮るにも適した頃でしょう。下の画像は10月20日18時30分の西の空の様子です。

いずれの時期に彗星を観察するにしても、彗星がどれくらい明るいか、どれくらい尾を伸ばしているかはその日になって見ないとわかりません。なので双眼鏡があると彗星が見つけやすくなりますよ。

久方ぶりの大彗星……ぜひ見逃さないようにしてくださいね!