茨城県立土浦第二高等学校に、同館に設置されたプラネタリウム投影機の調査に行ってきました。

茨城県立土浦第二高等学校E-5型プラネタリウム

当館では昨年のプラネタリウム100周年を契機に、神奈川県内をはじめとする各地のプラネタリウム投影機の調査を進めています。今回はその一環で、平塚からは少し離れていますが茨城県土浦市にある茨城県立土浦第二高等学校を訪問させていただきました。

同校の地学室には(株)五藤光学研究所製のE-5型というプラネタリウムが設置されています(直径は4 mほどですがドームもあります!)。このE-5型は学校への導入を主目的とした小型の(でも可搬性はあまりない)、ピンホール式のプラネタリウムです。それでも、太陽・月・惑星の各投影機棚を同架し、昼光投影機、朝焼け夕焼け投影機、天の川投影機、子午線投影機、黄道・赤道投影機も付属しています。当然、日周運動や年周運動も再現でき、手動プリセットですが歳差運動も見せることができます。
学校にプラネタリウム、というのが意外に思われるかもしれませんが、昭和28年に施行された理科教育振興法(いわゆる理振法)で予算が付いたこともあり、大型か小型か、据え付け型か可搬型かは別にして、学校に競ってプラネタリウムが導入された時期がありました。(株)五藤光学研究所もE型のほか、EP型、EX型などを開発、販売していました(下の画像は同社からお借りして秋期特別展『天象儀 100年の軌跡』で展示したEX-3型)。

当館2023年度秋期特別展で展示した可搬型ピンホール式プラネタリウムEX-3

実は、神奈川県内の学校にもかつてはいくつかの学校にプラネタリウムが導入されています。大型の据え付け型は日本プラネタリウム協議会プラネタリウムデータブックにも掲載されていて、現在、それぞれを訪問しつつ調査を進めていますが、E-5型の様に小型の据え付け型プラネタリウムは、なかなか記録に残っておらず、神奈川県内でもどれだけ活用されたのか、まだまだ調査は途上です。とはいえ、幻影で動いているものは皆無であるため、今回、活用されている例として土浦第二高校のプラネタリウムを見学させてもらったわけです。

同校のE-5型プラネタリウムは、一部、使えなくなってしまっている機能があるものの、しっかりと星空が映すことができていました。昨今はLED光源のプラネタリウムが増えているため星の色が白く、リアルではあるのですが少し冷たい印象を持ちます。E-5型はピンホール式なので星像が大きく、また光源が白熱電球なので星の色に温かみがあり、はじめはなかなか星が見えてこないのですが、目が暗闇に慣れてくると素晴らしい星空を見せてくれます。緯度と歳差の設定が少しずれていたのですが、担当の先生の許可を得てこちらで調整させていただきました。

土浦第二高等学校のプラネタリウムE-5型全景

そうそう、同校のプラネタリウムドーム内のスカイライン(地上風景)はシルエットで描くタイプで、しっかりと筑波山が描き込まれていました。

土浦第二高等学校プラネタリウムドームのスカイライン(北の一部)

現在、平塚市博物館では県内のプラネタリウムの情報を集めています。特に児童生徒のころ学校でプラネタリウムを見た、という方がいらっしゃいましたら、ぜひお聞かせいただければ幸いです。