今回「初日記」の澤村です。三年ぶりに、戻ってきました。よろしくお願いいたします。
さて、研究調査報告や年間の活動をまとめた年報、展示図録やガイドブックなどの刊行は、展示と並んで、博物館の存在を示すと言っていいくらい、大事な仕事です。
「ひらはく」こと平塚市博物館では、年度末をめざして複数の本を刊行するので、それをまとめて関係機関や図書館に発送する作業が、新緑の季節の風物詩。昔からの恒例行事です。今年もさっそくその日が来ました。
ハサミ、カッター、クラフトテープ····ふむ、道具も昔とあまり変わっていないですね。
鳫さん、明石さん、浜口さんとも、こうしてやったなぁ··と、年寄りなものですから、つい昔の学芸員たちの顔が懐かしく思い出されます。それぞれに、どうすれば早く効率的に作業できるか工夫を凝らし、あるいは小さな技を繰り出して作業した、それなりに楽しかった思い出です。
森さんはテープを同じ長さに次々に切るのが得意だった、とか、皆が早さを競うなかで森田さんのシール貼りがすごく丁寧だった、とか。
開館後、平塚市博物館を築いた第一世代の学芸員たちは、活動の展開とともにだんだん個別に仕事する時間が多くなって行きました。こうして一堂に行う作業は、お互いを確かめあう貴重な時間だったのかもしれません。
ええ、そんな風に思うのも歳をとったからかな。
その頃は、皆、どうしてそんなに、と思うくらいいつも仕事ばかりしていたように思います。
手間がかかっても年報の発行は、「博物館であること」の証明なのだ、と先輩の誰かに言われたことがありました。まだ手探りの「地域博物館」というジャンルで、それでもその活動に全員が信念をもっていました。
おっと──
「澤村さん、手が止まってますよ」
や、ごめんなさい。
うんうん。その突っ込みの素早さは○○学芸員ならではです。時代は変わってもまた、佳きかな。