博物館で開催されている工作系イベントの多くは材料がキットとして売られているものではなく、担当者が材料から集めて当館の設備で無理なく作業ができるよう工夫して企画・開発されています(望遠鏡などキットを購入した方が安上がりな時はキットも使います)。

今回ご紹介するのは、当館でも人気の高い体験学習「メガロドンの歯化石のレプリカを作ろう」をアップグレードするための教材開発の様子です。

石膏で作ったレプリカと元の化石を手に持ち見比べているところ

↑石膏で作ったレプリカ試作品と元の化石を見比べる野崎学芸員(2022年12月4日)

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レプリカ作り用の化石は本物を使いますが、化石はそこまで頑強なものではないので、頻繁に型取りに使うとだんだん消耗していってしまいます。そのため、今までは購入したアメリカ産のメガロドンの歯化石を型取りに使っていました。

が、やはりそこは、太古の湘南の海に生息していた生き物ですから、大磯層から出た湘南産の化石を使いたい。でも、大磯層のメガロドンの歯化石はたくさん数があるわけではなく、消耗させたくない……

ということで、大磯層産の化石のレプリカの作成を試みています。

作成したレプリカを型取りに使えれば大磯層産のメガロドンの歯化石の型を、元の資料を傷めずに量産することができる、というわけです。

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石膏でできたレプリカ(試作品)のアップ。本物に比べてバリや気泡ででこぼこしている。

試作第1号 継ぎ目のバリや気泡が目立つ。(2022年12月4日)

石膏の試作品を型から出すところ。

試作第4号を型から取り出す。(2022年12月6日)

成型材流し込み用の枠を外しているところ。中には固まった型がある。

試作第5号の型取りの様子。(2022年12月6日)

レプリカ作成用の型をカッターで削って微調整しているところ。

化石を取り出して微調整。真ん中で分かれるよう、上下半分づつ型を作る。(2022年12月6日)

流し込んだ成型材に混じる気泡をつまようじでひとつづつつぶしている。

上半分の型取り剤を入れ、気泡をつぶしているところ。(2022年12月6日)

試作第3号と元になった化石。(2022年12月6日)

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ちなみに、体験学習の当日配るレプリカ作りで配る「型」も同じようにして作っています。

上手くいけば来年の夏の体験学習は大磯層産の化石のレプリカ作りになるかもしれません。