当館で初の近世文書の史料叢書となる『平塚市博物館史料叢書1 相模国淘綾郡万田村出縄家文書 公事日記』が刊行されました。
本史料叢書は古文書の翻刻から編集まで当館で活動する古文書講読会が手がけました。古文書講読会は博物館所蔵の古文書を解読して地域史を明らかにする活動を行っていますが、本史料叢書はその活動成果の還元の一環です。
内容は幕末の泡多羅山(現湘南平)付近の土地をめぐる裁判の過程を記録したもので、裁判に関わった村役人や領主、幕府勘定所等の対応が詳しく記され、地域史だけでなく、法制史的な観点からも興味深い史料と言えます。
本史料叢書の特徴の一つは史料写真と釈文が同ページに掲載されていることです。これにより、一般読者や古文書を学び始めた方には、古文書を学ぶテキストとしても活用できます。また、専門の研究者にとっては原本に立ち返ることのできる信頼性の高い史料集となっています。市民の郷土学習から専門家の歴史研究まで広く活用されることを願っています。
本史料叢書はA4判全354頁。市内図書館に配架予定で、博物館では600円で有償頒布しております。
ぜひ、お手に取って御覧ください。