博物館近くのホームセンターの敷地の隅に植えられている桜が咲いているという情報が栗山前館長から寄せられました。
出来てから3年弱の新しい店舗なので、植えられている木もまだ細いです。写真の右端に写っているのが幹です。
萼筒の下部が少し膨らんでいるのでエドヒガン由来の品種かと思います。
エドヒガン由来の品種で有名なのは、ソメイヨシノ。ちょうど卒業式から入学式のころに咲く花で、普通秋には咲きません。本来花が咲くのと違う季節に咲くことを返り咲き(狂い咲き)といいます。
シキザクラという四季咲き(といっても夏は咲きません)の品種もエドヒガン由来で萼筒の下部が少し膨らみます。こちらは秋にも咲く品種なので、返り咲きではありません。
サクラの仲間の返り咲きしばしば発生し、話題に上がることも多いです。
サクラの仲間は夏に花芽や葉芽(次の年に花や葉になる器官)を作り、冬の間は休眠し、春になったら花や葉が成長し、花が咲き葉が開きます。しかし、葉で芽の成長を抑える植物ホルモンが作られるため、台風や虫害などで早い時期に葉を落としてしまうとその植物ホルモンが作られず、芽の成長が進んでしまい、秋に花を咲かせたり、葉を出したりします。
サクラ属の種類は、国内に自生する独立種は9~10種、県内には8種自生しているとされていますが、自然交雑の雑種も多く、栽培品種は300種類以上になり、さらに栽培品種と自生種との交雑も生じているそうです。
この写真は文化公園のソメイヨシノです。少し色づいてきましたが、まだ緑の葉もあります。
来年展開する花芽と葉芽です。これから冬を越し、春になったらきれいな花を見せてくれることでしょう。
参考文献:サクラハンドブック(2009)大原隆明著/文一総合出版
神奈川県植物誌2018(2018)神奈川県植物誌調査会編/神奈川県植物誌調査会