お盆は7月に行う地域もあれば、8月に行う地域もあります。平塚のお盆は8月に行います。

平塚でのお盆というと「スナモリ」や「フジサン」などという土壇を家の門口に作ることが特徴として挙げられますが、市街地や南部では見られないように、この習慣は市内全域で行っているわけではありません。今回は、平塚のお宅のお盆を見せていただきました。

こちらのお宅では、菩提寺である阿弥陀寺まで家族で向かい、お墓からご先祖様を家まで背負って迎えます。この役割は昔から子供の役割であったといいます。

お盆の期間には仏壇の中の位牌などを出し、このように盆棚を用意して、ご先祖様を迎えます。

盆棚へのお供え物は、ソーメンなどがありますが家によって異なり、このお宅ではご先祖様が好きだったものや初物の野菜を供えます。お盆の期間は3食欠かさずに供えますが、唯一15日のお昼は、ご先祖様がお土産を買いに出かけるということで、お供え物をしなくていいそうです。そして、16日の朝、あの世に帰る際に食べるおにぎりを供えて、花水川まで送りに行きます。送るのが遅れるとご先祖様が帰る船に乗り遅れてしまうので、午前中には必ず送りに行くといいます。

昔は阿弥陀寺の横に池があったそうで、8月16日にはそこで花火が打ち上げられたそうです。露店が出て、多くの人が集まり、賑わっていたといいます。

民俗学は、実際に見て、人からお話を聞くということが重要です。しかしこの状況ではなかなか簡単にお話が聞けなくなっていることも事実。そんな中でも、直接お会いしてお話を聞かせていただける場合は、こちらも感染症対策を万全にして向かいます。

今回伺ったお宅では、お盆のほかにもお月見のお話など、様々なことをお聞きしました。お忙しい中、迎えていただいただき、ありがとうございました。