平塚市中原の佐草健さん(大正15年~平成29年)がご自身の少年時代の体験を描いたボールペン画をはじめ、佐草さんの多彩な作品を紹介している秋期特別展。「暮らしの描写が細かく多岐にわたって描かれている」「精緻で温かい絵に感動しました。幼少年時代を懐かしく思い出しました」「どの作品も心のこもった温かさを感じました」「子どもたちに伝えたいことがたくさん詰まっています」「愛情あふれる作品ばかりでした」と、大勢のお客様からご好評のコメントをいただいております。

 「日常生活をわかりやすく、そのまま描くのは、思うほど簡単ではないはずですが、かなり理解しやすい形で描かれているのに驚きました」と、まさにその通りです。この日記を記している担当者などは、「今日見た風景や印象的な出来事を描け」と言われても、まったく描けません。それに比べ、80年も遠い昔の幼少時の記憶を眼前にある物のごとく精緻に描く、佐草さんの記憶力、観察力、画力にはおそれいります。晩年の佐草さんは、夢の中に度々昔のできごとが鮮明な映像で現れたそうです。

 それでは、展示会場のようすを少しのぞいてみましょう。

 まずは、家康の中原御殿にちなむ鷹狩の大絵馬です。平成15年に、第1回鷹狩行列が東照大権現祭で執行された記念に日枝神社へ奉納されました。佐草さんはこうした大作の絵馬額をぜんぶで4枚、神社へ制作奉納されています。

ずらりと並んだ佐草さんの作品

絵に描かれた実物も展示しています。これは奇しくも佐草先生が教鞭をとっていた昭和20年代の大野第一小学校(現・大野小学校)で使われていた机と椅子です。一年生が使用していたものであることが、机の落書きから判明しました。

紙粘土での人形づくりも得意にされていた佐草さん。これは兵隊ごっこの1シーンです。

ご家族のご供養やお祝いなどのために制作された作品たち。佐草さんの愛情深いお人柄が偲ばれる、心のこもった絵や模型です。

おまけ。本日は作品解説「佐草さんの絵に見る90年前の中原」も実施し、18名の方がご参加されました。作品解説は、11月22日(日)にも実施します。まだまだ定員に空きがありますので、どうぞお申込ください。また、特別展は11月29日(日)まで開催しております。ぜひお越しください。