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民俗探訪会 相模湾の民俗第23回

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民俗探訪会
相模湾の民俗 第23回 「三浦市初声町三戸」 2013年7月17日

 国指定重要無形民俗文化財「三戸のオショロ流し」で知られる初声町三戸を訪ねました。三戸は独特の民俗文化を残す地で、8月16日早朝のお精霊流しをはじめ、小正月のオンベヤキ、稲荷講、盆行事、十五夜・十三夜などの年中行事に、セエトッコと呼ばれる子ども集団が深く関わっています。集落を歩くと、門柱の表札に苗字と屋号を併記する家がかなり目にとまりました。昔からの屋号が現在も生きて使われていることと、地域のつながりの深さがうかがえました。ちょうど季節は夏野菜の収穫期を迎え、作物を箱詰めして運搬するトラックが頻繁に行き来していました。
 三戸は半農半漁でくらしを成り立たせてきた地域です。農家には若い後継者がいるものの、漁業は主力である定置網(猪口網)に年々イワシが入らなくなり、厳しい状況のようです。初声漁業組合の方から、「イワシが減ったのはシラスの捕りすぎが大きな原因」との説明を受けました。イワシが減れば結局シラスの減少につながっていきます。人気の「湘南シラス」の裏にこんな現実が隠されていることを消費者は知らなければいけないと思いました。

★行程:三崎口駅-福泉寺~三戸海岸~上諏訪社(昼食)~霊山寺~光照寺~三崎口駅 参加者12名

冬瓜の収穫 かぼちゃ畑 民家の門柱
冬瓜の収穫  かぼちゃ畑
 収穫前のカボチャに紙を被せ日焼けを防止する。
民家の門柱 
 苗字と屋号が併記されている。
民家の倉庫 福泉寺の一切亡虫魚墓 三戸海岸
▲民家の倉庫 三戸の農家は収穫物を貯蔵するための大きな倉庫を持つ。カボチャが整然と積まれている。 福泉寺の一切亡虫魚墓 
 嘉永7年(1854)造立。
三戸海岸 
 三戸では半数ぐらいの家が船を所有しているという。
海藻採取 大乗妙典六十六部供養塔 霊川寺のいぼとり地蔵
海藻採取 昔ながらに浜でアラメ・カジメを採取し、牛糞と混ぜて堆肥をつくる。畑に施肥し、「三浦ミネラルカボチャ」の名で流通している。 大乗妙典六十六部供養塔 三戸には六十六部供養の石塔が多く見られた。この石塔はこの地で亡くなった旅の六部を供養したものと伝える。 霊川寺のいぼとり地蔵 線香の灰をいぼに塗り、いぼがとれたら貝殻を数珠つなぎにしてお供えする風習があり、貝殻が多数納められている。
光照寺の石仏 光照寺にて 野菜の集荷場
▲光照寺の石仏 
 多数の庚申塔や六十六部供養塔が立ち並ぶ。
▲光照寺にて 三浦住職からオショロ流しや三戸の年中行事についてご教示をいただいた。  ▲野菜の集荷場
 三浦市農協すいかの箱が次々と運び込まれていた。

★次回:2013年9月18日(水) 「相模湾の民俗 第24回 小網代探訪」 三崎口駅~小網代  

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